大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(行ケ)25号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決は、本願考案をもつて、第一引用例及び第二引用例の各記載のものから当業者の容易に推考しうべき程度のものであるとした点において、判断を誤つた違法があると主張するけれども、その主張の理由がないことは、以下説明するとおりである。すなわち、当事者間に争いのない本願考案の要旨と、第一引用例とを対比すると、両者は、本件審決認定の点において一致し、また、その認定のような(1)ないし(3)の点において相違することを認めることができる。

しかして、右(1)の相違点、すなわち熱源の相違点については、一般に湯沸器その他の燃焼器において熱源として、煉炭のほかに液体または気体燃料を用いることがあることは、周知であるから、第一引用例の煉炭の代りに液体または気体燃料を燃焼させる燃焼器(コンロ)を取りつけるようなことは、格別の考案力を要せず必要に応じて容易に推考しうることであり、液体または気体燃料を使用する場合、煉炭を使用する場合に比して、燃料の供給が容易であり、熱効率が大で、火力調節も容易である等の利点を有するであろうことは、容易に予測しうるところであるから、本願考案が第一引用例に比してこのような利点を有するとしても、右(1)の相違点に考案の存在を肯認することはできない。原告は、この点に関連して、本願考案における吸気管と排気管の各断面積を一定の比率にし、かつ、バーナーの下に空間を設けることによる利点を指摘しているが、これらの点は、なんら本願考案の要旨として説明書に記載されたものではないから、その主張は採用できない。(なお、第一引用例においても本願考案と同様、燃焼器(コンロ)および水管の各構造を有することは、明らかである。)

つぎに、前記(2)の相違点、すなわち本願考案が、自然に二次空気を吸入させるように装置した点については、右のとおり第一引用例の煉炭の代わりに液体または気体燃料を燃焼させる燃焼器を用いることが推考容易である以上、液体または気体燃料の燃焼に適するよう自然に二次空気を吸入させるような装置を設けること自体は、むしろ当然のことであり、このような二次空気吸入装置について新規な具体的構造を示したわけでもない本願考案に、格別の考案が存在するものということはできない(なお、釜の下部側方に給気管を設け、この給気管を経て、自然に空気を吸入させるようにしたという構造において、本願考案と第一引用例とが一致することは、さきに認定したとおりで、この点に新規性がないことは明らかである。)。

前記(3)の相違点、すなわち、釜を分解して炊事用のコンロ等として利用できるようにした点について、一個の燃焼器(コンロ)を湯沸用、炊事用および暖房用に兼用させるという思想自体すでに周知に属することであるから、湯沸器の上下両水室を分離しその熱源をコンロに利用できるようにしたものが第二引用例によつて従来公知である以上、本願のように燃焼器をコンロとして利用できるようにし点にも考案の存在が認められないとした審決の判断は、正当ということができる。

(むすび)

三 以上説示したとおりであるから、本願考案をもつて、第一、第二引用例から当業者が容易に推考しうるものとして旧実用新案法第一条の登録要件を具備しないものと判断した本件審決には、原告主張のような誤りはなく、その取消しを求める原告の請求は理由がないからこれを棄却……する。

(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)

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